これまで蹄病の症例を紹介してきました。
↓この写真の道具何か分かるでしょうか
除草剤なんかを入れて噴霧する道具です。
通称「シャコシャコ」です
これに抗生剤・リンコマイシンを水に溶かしたものを
蹄病予防のために後肢の副蹄の下に吹きかけてやるわけです
これでPDDはある程度予防できているように感じます。
この道具、ほかにも放線菌症や打撲によってできた大きい膿胞を
洗浄するのにも便利だったりします
モノは使いようですね
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跛行が繁殖に及ぼす影響をにまとめた資料がありました。、
http://www.hooftrimmers.org/pdf/hta_lame_diag_repro.pdf
Melendezさんの論文によると跛行牛は(試験牛190頭中、跛行牛は65頭)、
初回授精までにかかった日数は5日延長し、
初回授精受胎率が58.9%減少し(42.6%→17.5%)
卵胞嚢腫の発生率が2倍以上増加し(11.1%→25.0%)
分娩後480日目での妊娠率が8.2%減少したそうです
う~ん影響甚大ですね
平成19年、ET研東日本分場が茨城県笠間市に、
平成21年には、北日本分場が岩手県滝沢村に設置されました
今回は、打ち合わせのため東日本分場を訪問しました
お邪魔しまーす
朝の発情チェック後、採卵準備が始まりました
業務を分担し、手際良く作業が進みます
普段、上士幌では牛を引っ張らない私も少しだけお手伝い
すでに汗だく
これが噂の「採卵前のコーヒータイム」ですね
牛の顔を見ながら一服
最高です
さぁー、気合を入れて、採卵開始!
採卵が終わった牛から順番にフィルターを洗って受精卵を探します
みんなで検卵中
そして奥では新ETの準備です
私も検卵しましたが、ホームグラウンドではないので少々緊張しましたね
なので、いつもより受精卵のランクを厳しめに分類したつもりでしたが・・・・・
東日本分場の受精卵のプロの方から「これ、上士幌では凍結してるんですか?」とのご指摘に、
「ううっ・・・。申し訳ございません・・・。」
また、最近検卵をはじめた方からも「これ、変性卵に入ってますけど、新鮮ランクでは?」と注意を受け、
「ううっ・・・。おっしゃる通りでございます・・・。」
2枚のイエローカードで退場しました
まだまだ修行が足りませぬ
少ない頭数でしたが採卵成績が良好で凍結胚も製造
非常に和やかなムードで且つ迅速に仕事が行われている印象を受けました
チームワーク抜群ですね
また次回の打ち合わせの時はよろしくお願いします
忘年会シーズンを狙って行きますので
あっ、ご期待に添えるよう検卵も練習しておきます。はい。
26日(木)は佐賀県唐津市で4戸の酪農家さんを回って新ETを行いました
最高気温はなんと35℃
人間の体温とほぼ一緒です
体温が高めになっているウシもいました
まず超音波診断器を使って、6月移植分の8頭を妊娠鑑定しましたところ、
6頭受胎、1頭再検査(胎子の心拍が確認できなかったので)、1頭不受胎でした。
全頭受胎してもらいたかったですが、まずまずの結果でした
その後、暑さに負けずに22頭に移植を行いました
来月の妊娠鑑定が楽しみです~
ちなみにここの牧場には「唐津のお父さん犬」がいます
お邪魔した時は最初にお父さん犬に欠かさずご挨拶しています。
今日もご挨拶に行ったところ・・・
と言われたので、若干プレッシャーを感じました
お父さん犬の期待に答えられるよう、これらもがんばります
本日、7月27日(金)は土用の丑の日です。
そう、一年でウナギがもっとも売れる日です。しかし、今年はうなぎが高い
ニュースで何度も取り上げられていますがウナギの稚魚であるシラスウナギが激減したため、ウナギが手に入りにくいそうですね。
でもなんでウナギなんでしょうか?
ちょっと調べてみると、夏は売り上げが落ちるウナギ屋さん(実はウナギの旬は秋)が、学のある平賀源内さんにどうしたら売り上げが良くなるか相談したところ、土用の丑の日にウナギを食べると夏バテにいいよって言えばウナギ売れるよ、と言ったのが始まりとか…。(wikiを参考に簡単にまとめると)
源内さんは丑の日に「う」のつくものを食べると夏バテしないという民間伝承を参考にしたそうですね。
ウナギ以外に「う」のつくものってなんでしょうか?梅干し、瓜、うどん、ごぼう…なんでもありみたいです
ということは「うし」でもいいわけですね丑の日に牛肉を食べよう、とPRしたら牛肉消費もアップして然るべきでしょう
牛肉はタンパク質が豊富ですし、鉄分の摂取にも有効です。また、ウナギほどではありませんが炭水化物をエネルギーに変換するのを補助するビタミンB群も豊富なので夏バテには有効ですね。
みなさんも牛肉でスタミナをつけて夏を乗り切りましょう!
↑写真は研究所のある上士幌町のブランド牛、ナイタイ和牛です
ちょっと更新が遅くなりましたが,先週土曜日,島根県にETに行ってきました
“あらえっさっさ”の安来節と,出雲大社の島根県。
残念ながら今回は安来節も出雲大社も見れませんでしたが,
その代わりにカブトムシの形をした公衆便所を発見しました
ぶなの木が有名だそうです。。。
山間の田んぼが非常にきれいでした
出雲市内ホテルから走ること1時間・・・無事に到着後,作業を開始。
今回は約30頭の受卵牛に移植をおこないました。
同期化処置頭数の9割とまでは行きませんでしたが,9割近くのウシに移植することができました。
西日本くみあい飼料の先生,鳥取新ET同様,ありがとうございました
移植現場に居られた方々です。
(右上の丸印の方々は,写真撮影と撮影中の荷物の片付けをしていただきました。
ありがとうございました)
生産者・飼料会社・県本部・・・多くの方が関わっているおかげで新ETシステムは成り立っていることを実感しました。
少しでも生産者の方に役に立つよう,毎日をがんばろうと思う今日この頃です。
「○○をさがせ!」というと、イギリス人のイラストレーターが出版した絵本を思い出します
赤と白のしましまの服を着て、眼鏡をかけた細身の男性を絵の中から探す、ゲーム感覚の絵本です
小学生の頃、学校の図書館にその絵本があって、友人と一緒に目を凝らして彼を探したのを覚えています
彼、人ごみに紛れるのがうますぎます。。。
今日はその絵本のようにみなさまに卵子を探していただこうと思います
食肉処理場で採取した卵巣から卵子を注射器で吸引すると、卵胞液とともに卵子が回収されます。
それをシャーレにあけて、卵子を探す作業を体験してみて下さい。
探してもらう卵子はこんな感じ↓
卵巣から吸引した卵子はこのように顆粒層細胞(卵丘細胞)で覆われた状態です。
シャーレの中にも顆粒層細胞が浮遊しています。
さぁ、いくつ見つけることができるでしょうか
画像はクリックすると大きくできます
卵子は全て1枚目の写真と同じ形というわけではないです
まわりを覆う細胞が少し剥がれているものもありますし、完全に剥がれてしまっているものもあります。
卵子の細胞質(1枚目の写真の真ん中の黒い部分)の色もそれぞれ違ったりします
なんだか卵子に見えるけど違う!ってのもよくあること
そんなときは卵子を転がして見る角度を変えてみたり、顕微鏡の倍率を上げてみたり・・・
顕微鏡下で見るのと写真で見るのはちょっと違うので難しいかもしれませんが・・・
そろそろ答え合わせをしましょう
正解は↓
6つでした
全部見つけることができたでしょうか?
先日、牛のヒーローの名前を募集しているとブログに書いたのを覚えていますか?
↑このむちゃくちゃ強そうなキャラクターです。
なんとこのたびこのキャラクターの名前が決定したそうです
その名は以下のだいぶ気合いの入った動画で確認できるそうで。
なんと1万2千通もの応募があったそうですね黒牛のPRとしては大成功ではないでしょうか?
ET研もキャラクターをつくって名前を募集したら受精卵のPRになりますかね
命名者への景品は受精卵1年分とかで
新ETシステムで農家さんを回ったときなど大体どこの農家さんにも
かわいいネコから不細工なネコまでたくさんいます
人なつっこいネコ,人を見ると逃げ出すネコ
,無視するネコ
そんなネコたちを見て,癒される毎日です
先週,興味深い記事を見ました。
阪大,トキソプラズマを破壊する宿主防御因子GBPを発見
http://news.mynavi.jp/news/2012/07/13/116/
この研究により,トキソプラズマ症に対する新たな治療戦略を提供できることが期待される,
と,研究グループはコメントしています(記事より引用)。
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トキソプラズマとは,人とネコに深い関わりのある寄生虫のことです。
ネコ,特に屋外で飼育されているネコの糞や,感染した動物の肉で,十分に加熱されていない肉
(生肉,レアステーキ等)を摂取したりすると感染します。
ネコの糞といっても,
①初めてトキソプラズマに感染したネコの糞
②感染後1-3週間程度までの間の糞,
③(お腹の)外にでて2-3日以上たった糞や,その乾燥飛沫
以上3つの条件をみたした糞が,感染源となります。
トキソプラズマは特定の時期に感染しなければたいした症状もなく問題にならないのですが,
人間が①妊娠初期に,②人生で初めて感染すると,胎児に影響が出てきてしまいます
(確率は低いようですが)。
また,ウシが妊娠初期に感染したらどうなるか?ちょっと調べてみたところ・・・
ウシでも頻度は少ないですが,流産が起こるようです
ネコの糞が間違ってもウシ(人も含む)の口に入らないよう,
そして少しでも受胎率UPするように,牛舎
はきれいにしましょう
(あと,妊娠中の奥様がいるお宅で,ネコちゃんトイレがあるお宅は,
だんな様がネコちゃんトイレを毎日掃除
してあげると,ネコちゃんにとっても奥さんにとっても良いらしいです・・・。)
昨日パドックで歩行がおかしな供卵牛がいました
四肢のどこも腫れてはいないし、、
足を上げてみても趾間腐爛でもイボでもないし、、
でも触ると痛がるので、とりあえず削ってみました
すると小さな穴から膿がでてきました
↓
(驚かれないように出血箇所を修正してます)
外傷性の潰瘍だと思われます
見ただけでは分からないものです
今回は患部が広範囲で痛そうなので鎮静剤と局所麻酔剤を投与してから
がっつり削って、患部の洗浄、包帯して最後に抗生剤投与で終了です
以前ちらっと紹介いたしましたが、蹄病が牛の繁殖に及ぼす
負の影響は結構大きいです
乳牛では特に3大疾病の一つといわれるぐらいですから、新ETシステムで
農家さんから候補に挙げていただいた中にも跛行牛さんがちょくちょくおります
そのような場合、大変申し訳ないですが治していただいてから再度
候補に挙げていただくようにお願いしております
どうしてかと申しますと。。。
例えば跛行を示す牛の場合、
初回授精受胎率が最大10%低下するとの報告もありますし、
卵胞嚢腫の発生が増大するとの報告もあります。
ある文献では跛行を示す牛に発情同期化処置を行っても
全くホルモン剤に反応しなかったと報告されています
これまでの経験とこれらの報告から、まず跛行牛には治療をお願しております。
今回は漠然とした内容ですが、後日もう少し跛行が繁殖に及ぼす影響について
の報告を詳しく御紹介出来ればと思います
「老化抑制-アンチエイジング」
みなさまも興味があるのではないでしょうか?
7月4日、熊本大学大学院 赤池教授らは
硫化水素に「老化抑制作用」があることをネイチャー・ケミカルバイオロジー電子版で発表しました。
http://www.nature.com/nchembio/journal/vaop/ncurrent/full/nchembio.1018.html
硫化水素が温泉に含まれていることはよく知られていますが、
ニンニクやネギを摂取することで体内でも生成されるようです。
以前、硫化水素が、げっ歯類などの哺乳類を仮死状態へ誘導するという論文を読んだことがありました。
そこで細胞保存に、この猛毒の「硫化水素」が利用できないが考えたことがありますが、
万が一のことを考えると恐ろしくて手を出せずにいました。
よいチャンスなので、赤池教授とコンタクトをとってみようと思います。
今日は3連休の最終日ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
お休みではない方もいらっしゃると思いますが・・・
スペインでは7/6から7/14までの間、あの有名な「牛追い祭り」が行われる
サン・フェルミン祭が開催されていたそうです
牛追いは7日から14日まで毎朝行われるんですね
参加したつもりでポチッと
迫力満点です
最後のウシが檻に入るまでの平均タイムは3分58秒、平均速度は24km/hだそうです
速いウシは2分強で走り抜けるそうです
今年はお祭りに参加した日本人男性が怪我をしてしまったそうですね
日本ではこれから夏本番に突入です
暑さで体力と集中力が奪われてしまいますよね
外での作業が過酷な季節になりますので、熱射病や怪我には十分ご注意下さい
この写真の機械、なんだかわかりますか?
時計?温度計?
いいえ、ヒートストレスメーターです!
さてこのヒートストレスメーター、何かといいますとTHIという指数を測定するのに使います。
THIとはTemperature-Humidity Indexの略称で、簡単に言うとは気温と湿度から導き出される不快指数のことです。
夏場の暑熱ストレスは牛の生産性や繁殖性を著しく低下させ、畜産現場において大きな問題となっています
暑さに対するストレスを評価するには気温だけでは不十分で、湿度も絡めたこのTHIを測定することでストレス状態を判定することができます。
そこでこのTHIメーターを使用すれば、牛舎内の暑熱ストレス度合いが一目瞭然で、暑熱対策をいつ講じるべきかがすぐわかります
ちなみに最近の報告ではTHIが68を上回ると牛が暑さのストレスを感じるらしいのですが、研究所の事務所内は既にその値を超えているような…。
まだまだ夏はこれからですが牛も人間も暑さに負けないよう頑張りたいですね
世間は上野動物園のパンダで大騒ぎですね
あの大きなパンダに対して新生子の小ささにびっくりです
クマ科動物の繁殖生理として、昨日紹介いたしました着床遅延という現象が有名です
今回の子パンダも生まれたのは7月ですが、
交尾(受精)があったのはいつだったのでしょうか
このパンダも現在の生息数は2000頭弱、、絶滅危惧種に指定されています
死んでしまったのが非常に残念です
和牛受精卵をホルスタインに移植するように、
身近な(?)ヒグマを仮腹にしてパンダの受精卵移植できないものか、、、
(妄想です)
昨日、新ETシステムで昼食のため立ち寄った食堂にあった雑誌に
岡野雅行さんという方のいい言葉が載っていました
「不可能を可能にするのは経験。失敗を重ねないと常識外の仕事はできない」
失敗して、乗り越えて、を繰り返して自分も成長していきたいと思います
↑十勝では見ることの出来ない水田がきれいでした@穂別
我々の研究の柱として受精卵の新規保存方法の確立があります。
これまでは「凍結」や「チルド」に注目してきました。
また、ずっと頭の中では描いていましたが「室温保存」や「体温保存」にはなかなか手が出ませんでした。
室温や体温近くでの受精卵保存を考えた場合、思い浮かぶのが熊、カンガルー、コウモリなどの「遅延着床」を起こす動物です。
例えば、熊は6月頃に交尾をしますがその受精卵はすぐに着床(妊娠)しません。
受精卵はある程度のところまで発育するとそのままの状態で子宮内を浮遊します。
(実際は浮遊しているか不明です。子宮内に定住地があるかもしれません。)
そして熊の場合、着床するのは12月頃。
すなわち、約半年は子宮の中で発育を停止させているのです。
この細胞周期停止機構が解明されれば受精卵の室温や体温環境下での長期保存が可能になる訳です。
(細胞周期も実際にはピタッと停止していないかもです。すごーくゆっくり時間が流れているかもしれませんし、、、)
熊、カンガルー、コウモリに共通するあるポイントに着目し、牛受精卵の体温(38.5℃)保存にチャレンジしましたが、、、
3日が限界、、、ううっ、、、半年には程遠いです、、、
1990年、大学の恩師が論文を発表しました。
液体窒素で凍結融解を数回繰り返した牛精子を1匹ガラス管に吸引し卵子に注入する。
いわゆる「顕微授精技術」を用いて、死んだ(動かなくなった)精子からも正常な産子が誕生することを証明したわけです。
世界中がビックリ仰天
恩師がアメリカで学会発表後、新聞記者から「永久凍土に眠るマンモスの精子も利用できるのでは?」と質問を受けたことが、
現在も続いている「マンモス復活プロジェクト」発足のキッカケ。
最近では顕微授精のみならずクローン技術も応用されているようですね。
私も大学では、あこがれの恩師と顕微授精に関する研究に従事することができました。
1990年当時のご苦労話を聞くと、
成功までの道のりはかなり険しく、失敗の連続だったそうです。
精子を注入した卵子の数、1万個以上・・・
しかーし、ある日の真夜中、実験を担当する学生さんから電話で、
「先生・・・、発生してます・・・。」と
急いで大学に向かったそうです
ブレイクスルーはいきなりやってくるらしいです・・・
ブレイクスルー様、心よりお待ち申し上げております!
ちなみに上の写真は、ET研で行われた顕微授精の様子。
「黒い脂質」を遠心操作で一か所に集め、卵子内を可視化し、精子が確実に注入されたことを確認します。
精子を注入する先端径7μmのガラス管や卵子を保定するガラス管は自作品です。
恩師の匠の技を継承しています
今日は、卵子や受精卵等を培養する機械(インキュベータ)をお掃除しました
これがインキュベータでーす↓
気をつけているとは言え、ドアの開け閉めで空気中の塵やほこりが少しは入ってしまうし、
中は湿気っぽく、風通しの良くない環境になっているので、しばらく使っているとやはり汚れてきます
実験で使う大事な卵ちゃんを培養するため汚れは厳禁です
なので、毎日・・・とはいきませんが、清潔さを保つために定期的にお掃除しています
シャーレをのせるための棚も全部取り外して、隅々まで拭き取りました
アルコールをシュシュッとかけて拭こうとするとその匂いで酔っ払いそうになります(笑)
負けじと磨き続け・・・お掃除終了
どうですかピカピカになったでしょう
鏡のように実験室が映っていますね~すばらしい
すごく基礎的なことになりますが、研究を行う上でこういった部分も忘れず気をつけていきたいものです
不受胎の要因は様々ありますが、泌乳牛におけるエネルギーバランスの崩れもその1つです。
近年、血液成分と受胎の関係を評価する試みをET研究所でもおこなってきました。
そのうち、BUN(血中尿素窒素)と血糖値のバランスが崩れた牛の受胎率が低いという報告があり、ET研究所でも調査した
ところ、ホルスタイン種でBUN(mg/dl) / 血糖値(mg/dl)の値が0.3以上である牛の受胎率が0.3未満の牛よりも受胎率が
低い結果になりました。
つまりBUNが高く、血糖値が低い牛の受胎率が低かったのです
では、なぜBUNが高く、血糖値が低いと受胎性が悪くなるのでしょうか?
BUNはタンパク質が過剰に給与されると上昇します。タンパク質は牛のルーメン内で分解され、アンモニアへと変換される
のですが、その量が過剰になると肝臓でのアンモニアの代謝が間に合わず、全身に悪影響を及ぼします。
子宮内のアンモニアが増加すれば、受精卵にダメージを与えることになり、受胎率は低下すると考えられます
また血糖値が低いというのはエネルギーの不足が考えられ、このエネルギー不足もアンモニアの代謝を鈍らせます。
では、このようなエネルギーバランスが崩れた牛を受胎させるにはどうしたらいいでしょうか?
当研究所では科学飼料研究所と共同で開発した添加剤を使って、受胎率の向上を図っています
その添加剤がこの
とまるちゃんです。そのまんまですね
ですがこのとまるちゃん、中々の好成績をあげてまして
当研究所の試験結果では1日100gを15日間給与するとだいたいの牛は給与後にBUN/血糖値の値が0.3を下回り、
当初BUN/血糖値が0.3を超えた牛でも受胎率の改善がみられました
とまるちゃんに含まれるアミノ酸がアンモニアの生成を減らし、糖蜜がエネルギーを補足し血糖値を上昇させるようです。
とまるちゃんについて興味がありましたら是非ET研究所までお問い合わせください
今回は、ウィリアムマイナー研究所にいる僕の同期から来る、デイリーインフォ、という記事の一部を
紹介させていただきます
今回のデイリーインフォは、“Washington State University Extension”より、
暑熱対策の特集を教えてもらいました。
その中で、新しい暑熱対策として、“伝導冷却”というものを紹介しておりました。
どのような冷却方法かというと、牛床の下に水冷式の放熱気を設置する、
というものだそうです。
稼働費用は安いとのことだそうですが、どのように使用していくか
(他の冷却システムとどのように組み合わせるのが効果的かなど)
は、研究段階のようです。
ペット用の冷却シートを想像してしまいましたが、
安価で効果のある暑熱対策用品ができることを期待してしまいます。
本日、新ETシステムの黄体チェックの帰りに寄った道の駅(温泉)には
全国からキャンピングカーがひしめきあっておりました
(山口、福井、三重、etc...)。
いくら暑くても、人は暑ーい温泉が大好きのようです。
「TED」にはいつもお世話になってます。
みなさん、プレゼンうますぎ
今日は、分野はまったく異なりますが熱き研究開発者のスピーチです。
YouTube: Myshkin Ingawale: A blood test without bleeding
血液検査を非侵襲的行えるツールを開発したそうです。
心打たれたのは、プレゼンの最後
カッコいいですね
ミシュキンさんを真似て、
「2020年には、世界の受胎率は大きく改善されています!」
と言えるような革新的な技術を開発できる日は来るのか・・・・な。
いやいや、がんばりますよ
卵子や受精卵を扱う上での必需品!
培養液中に入っている小さな卵子や受精卵を拾い集めたり、
違う培養液に移動させたりする際にはこのマウスピースが欠かせません
この水色の方を口にくわえて、反対側にはガラスのピペット(パスツールピペット)をつけます。
息を吸ったり吐いたりすることで、ピペット内に卵子を入れたり出したりすることができます
チュルッと口まで卵子を吸ってしまわないんですか?と聞かれることがよくあります。
私も最初は思いましたが、ご安心を
かなりの吸引力がないとそこまでは吸えません
マウスピースは手作りしているのですが、myマウスピース
を持ったときはうれしかったです
ちなみに今のマウスピースは口から手元までくらいの長さしかありませんが、
大学時代は首の後ろを通して手元までもっていっていたのでかなり長いタイプでした。
自分の使いやすいように変えられるのが手作りのいいところですね
ちょっと見づらいですが、こんな感じで使ってます↓
(マウスピースがちょっとしか写ってませんね。笑)
先日、鳥取にてチルド受精卵を持って移植に行ってきました
↑ 飛行機から見えた富士山。上空から初めて見ました。
今回、移植候補のうち、9割以上の牛が、黄体のしっかりついた牛でした
(移植中止した2頭のうち1頭は、黄体がついていたのですが
体調不良で移植を中止しました)。
飼養管理がしっかりしていた、というのも要因の一つなのですが、
同期化の前に、40頭以上もの牛を選畜していただいた先生のおかげです。
ありがとうございました。
西日本くみあいのお二人も、移植の記録、補助、非常に助かりました。
午前中に終わったのもお二人のおかげです。ありがとうございました。
飛行機まで時間ができたので・・・
きちんと妊娠維持しますよーに
またよろしくお願いします
そんなことができればいいですね
以前、「雄?雌?」でも紹介しましたが、ここ数年で2,000個近くの受精卵の性判別を担当しました。
2,000個もやれば「受精卵の顔つき」で性別が判断できるように・・・・・
はい、なりません
しかし、本日は「ある表情」のとき、雄の比率が多いように感じるというお話です。
(これからお示しすることは私見です。同調者はおりませんのでご注意ください。)
それは、受精卵が全体的に「黒い」時・・・。
それでは、受精卵の「黒さ」とは何でしょうか?
牛受精卵は<脂質>の量で黒さが異なります(多いほど黒くなる)。
脂質はエネルギーの源なので、卵子や受精卵には大切な物質です。
しかし、それが多すぎると受精卵の品質が低下したり、凍結に対する抵抗力が弱くなることが知られています。
さらに、この「黒さ」は動物種によっても異なります。
マウス卵子は透明に近く、顕微鏡下で染色体の場所が確認できるほど。
また、豚卵子は脂質が非常に多いため牛より「真っ黒け」。
従って、豚の卵子や受精卵の凍結保存は牛と比較して難しいのだと思います。
さて、性別の話に戻りましょう。
「黒い」と感じた受精卵の雌率を精査すると、何と25.3%・・・
なぜ、「黒い」受精卵は雄が多い傾向にあるのか?
?????
では、なぜ、「黒い」受精卵が生産されるのか?
それは、母親の体内環境によるものではないかと推察しています。
その要因としてエネルギーバランス、ホルモンバランス、餌、年齢、遺伝などが挙げられると思います。
これらのことから、予測できるトンデモ系仮説は・・・、
①黒い卵子を排卵するような体内環境の母親に授精された精子は、Y精子が選択的に活性化(あるいはX精子が不活化)。
②黒い卵子はY精子が入りやすい構造(あるいはX精子が入りにくい)。
③受精時の性比は普通に1:1であるが、初期の発育段階で雄側へ偏りが生じる。
また、この「黒さ」が、受精する精子(雄側)の要因である可能性も捨てきれません。
いずれにしても「なぜ、黒い受精卵は雄が多いのか?」を証明することは難しいようです。
これが真実であるかもわかりませんし。
性比コントロール・・・、やればやるほどドツボにはまりそうです。
念押しいたしますが、これは私見であり、「黒い」という判断もNile Red等で染色して黒さを測定したわけではありません。
「今日の受精卵は黒いから凍結に対する抵抗性が低いかなー」とノートに印をつけたものをまとめたものです。
今日は食肉処理場で採取した卵巣から卵子の採取方法を紹介します。
実験室に持ち帰った卵巣は生理食塩水でキレイに洗います
卵巣のドアップ写真載ってます↓
びっくりしないで下さい
卵巣の表面にプチプチとしたものが見えるかと思います
これが卵胞(らんぽう)というもので、中は卵胞液という液体で満たされていて、卵子が入っています
上の写真のように卵胞に注射針を刺して、卵胞液とともに卵子を注射器で吸引していきます
卵胞の多さにびっくりした方もいるかもしれませんが、これは未熟な卵胞です
排卵にいたる卵胞はこの中の1つのみで最終的には成熟してもっと大きくなります
他の卵胞は発育周期のどこかの段階で消失していってしまいます。
このため、ウシは基本的には1回の発情で排卵する卵子は1個になります
注射器での吸引は慣れると手早くたくさんの卵子を吸うことができますが、たまに勢いあまって針を手に刺してしまうことがあるのでご注意を
何度かブログでも取り上げていますが、生産者の庭先におじゃまして牛に発情
の同期化から移植までの一連の作業をおこなうのが新ETシステムです
基本的には十勝管内を4つに地区分けし、それぞれを週替わりでおこなっています。
上が十勝の地図になります。ちなみにET研究所は北方の上士幌町にあります。
ここから十勝のほぼ全域に向かって車を走らているわけです。
ちなみに十勝管内の総面積は1万831Km2
もし十勝を1つの県とした場合、その面積は全都道府県のなかで秋田県に次ぐ第7位になります
なんと東京都5つ分。大阪府なら7~8つ分です
これだけ広いと色々な風景、人、物そして食べ物があるわけですね
今回は時間に余裕があったので生産者の方オススメのレストランでお昼を食べました。
1日の走行距離も長く、忙しい日が多いですが、せっかく広い十勝をあっちこっち走っているので
たまにはおいしいものを食べて午後への活力にしたいものです
ET研究所では日々,牛に採血をしたり,ホルモン剤を注射したり,
直腸検査を行ったりと,牛が嫌がることをしています
これも受精卵を作るためだったり,研究のためだったりと割り切ってやってはいるものの,
心が痛みます
なので,たまには牛に気持ちがいいことをしてあげようと思っておるので,
その一つを紹介します。
本当に気持ちがいいかは牛さん自身しかわかりませんが,
気持ちよさそうにしているので気持ちいいはず
①牛の後ろに立ちます。蹴られないように注意してください
②尻尾の付け根をこすってやります
すると・・・
だんだん・・・
あがっていきます。
大部分の牛がこれで尻尾を上げてじっとしてくれます。
採血で失敗したときや,牛にちょっとやさしくしたいときには,ぜひ試してみてください
(大学時代,友人に教わった技でした)。
また,発情観察で陰部を見たいときにも役立つので,人もうれしく一石二鳥
その歩く姿から緩歩(かんぽ)動物と言われるクマムシ。
うらやましいことにストレスに強いんです。
どれくらい強いかと言うと・・・・、
ハンパないですよ
「120年間、乾燥に耐える」
「6,000気圧の超高圧に耐える」
「真空状態に耐える」
「多量の放射線に耐える」
「-273℃の超低温に耐える」
「+151℃の高温に耐える」
耐えて耐えて耐えまくりです
すなわち、液体窒素に「ジュー」っと入れて、電子レンジで「チーン」しても生きてるわけですね。
(注:凍結および融解スピードが影響するかもしれませんが)
しかし、本当にそうなのか?
試してみたいところです
「最強戦士」はどこにでもいるそうなので、すぐに見つけられます(要顕微鏡)。
数年前から子供の夏休みの宿題のテーマにと仕向けていますが、未だ実行できず。
今年こそは
5分30秒で凍結とクマムシがわかります(ナレーション付き)。
YouTube: クマムシ / Water Bears 地上最強の生物
牛受精卵の凍結保存技術の進歩も著しく、近年ではかなり高い受胎率が得られるようになりました。
凍結受精卵と言えば・・・・、
6月7日、ET研の「受精凍結卵リスト」を更新!
今回は「隆之国」、「光平照」など人気の種雄牛の受精卵を取り揃えました。
でも、目玉は・・・・、
レーガンクレスト エルトン ダーハム ET × ハイロード ダンデイー エピソードの凍結受精卵
詳細は、本ブログ右上の「受精卵リスト」からご覧いただけます。
今週妊娠鑑定をしていると、おや?と思う超音波画像がありました。
左の画像は30日目の妊娠鑑定時の画像です。
一見すると子宮内に胎水が十分に貯留し、妊娠している画像にみえます。
しかし、いつもなら白く見える膜のなかにいる胎子が見当たりません…
右の画像は同じく30日目なのですが、まず子宮内の胎水が少ないように見えます。
そしてうっすらと、ひも状のものが浮いているのが確認できると思います
じつはこの2つの画像、どちらも胎子が死んでいる状態もしくはその前兆なのです
こちらもまた別のときに見つけたものですが、30日目にしては胎水が少なく、胎子らしき塊がみえますが形がいびつではっきりしません。この牛は翌週には子宮の中には、何もいなくなり、結局妊娠はマイナスでした
初めの2つの画像の牛も、翌週に胎水がなくなればはっきりとマイナスの診断ができると思いますが、時には60日ころまで残っているものもあります。このような牛では、しっかりとした妊娠鑑定をおこなわなければ見落としてしまう可能性もあるので注意が必要ですね。
ただ今回の鑑定結果、何かの間違いであって欲しいので結論は次週に先延ばししています
6月6日(水)、JA上士幌町 小椋淳一様 所有の「ハイロード ダンデイー エピソード 号」(写真)
の採卵を行いました(交配精液:レーガンクレスト エルトン ダーハム ET)。
「ハイロード ダンデイー エピソード 号」
検定成績:4-11, 305, 11,028Kg 457 4.1%
体型得点:93点
賞歴:2008年 北海道ナショナルショウ 3歳ジュニア 1位
2008年 インターミデイエイト チャンピオン
2009年 北海道ナショナルショウ 4歳 1位
詳細は全農ET研究所ホームページでご覧いただけます(7日~)。
今日は絶対に損はさせません!
私に20秒間時間をください!
下はET研で生産された受精卵の「動画」です。
5分間隔で2日間、写真を撮り続けました
その大量の写真を20秒にまとめてみました。
受精卵の周りにある透明の殻(透明帯:鶏の卵の殻のようなもの)を割ってピヨッ
がんばれーって感じです。
細胞が盛んに動いており、何度見てもワクワクします
牛受精卵は孵化後、ビローン
こんな風に!(上の動画から1週間後の様子。全長25mm)
しかし、0.1mmと髪の毛の太さほどしかない受精卵が、1週間で自身の大きさを250倍成長させるとはすごい細胞増殖力です
一般的には、このビローン
己の存在を母親に知らせると考えられています。
これを「妊娠認識」と言いますが、
これまでの我々の研究結果では、「妊娠認識」はもう少し前に始まっているのではないかと予想しています。
この「妊娠認識」について語りだすと長くなるので、詳細は次の機会に。
そして、母親に己の存在を知らせた受精卵は着床を開始し妊娠が成立するのです
ちなみに、ヒト受精卵はビローンとは伸びず、透明帯から孵化するとすぐに着床します。
動物種によって受精卵の成長もいろいろです。
ET研究所のお母さん的な存在だった方が5月いっぱいで退職することとなりました。
ET研でも送別会はやったのですが、今までお世話になりっぱなしでしたので、お疲れ様と感謝の気持ちを込めて・・・
女性陣のみでナイタイ高原で一緒にお昼をいただきました
景色はすばらしくいいのですが、残念なことに天気はあまり良くなかったです
その日は東日本分場から研修生(女性が1名)が来ていたので、その方も一緒に行きました
研修生も入れて総勢7名のレディース軍団で仲良くランチタイムです
たまにこういうのも息抜きになっていいですね
レディース軍団のみなさん
おいしい空気を吸って、おいしいものを食べ、また仕事をがんばりましょう
今日も十勝管内の移植に車を走らせてきました
今回は研究所から南東方面の池田町と豊頃町にいってきました
毎回色々な地域へ足を運ぶと、様々な形態の農場をみることができます。
また、そこでは移植を依頼する理由も様々です。
ある農場は優良な後継牛を求めて、ある農場は和牛素牛の販売目的、ある農場は不受胎牛の対策…。
今日お邪魔した和牛繁殖農家さんの場合は後継牛と不受胎対策が目的になりますね。
ET研究所で使用している和牛受精卵は市場でも人気のある血統を用意していますので、きっと満足していただけると思います
↑の写真わかりにくいですが、十勝では珍しい軽種馬が飼育されていました
飼育されている動物も様々で面白いですね
ET研究所には茨城に東日本分場という分場があります。
以前ブログで紹介した、ブラウンスイスの生まれ故郷です
先日、東日本分場から研修生が来ました
これからも東日本分場での活躍、おねがいします
その方と話をしていたのですが、やはり受精卵の品質の判定が難しい、と話題になりました。
現在、熟練の目をもった方と、目合わせをしているのですが、なかなか難しいようです。
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採卵直後の7日齢胚です。凍結できない品質と判断されました。
それを48時間培養すると・・・
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4個中3個は発育しましたが、1個は成長が途中でとまってしまいました(真ん中の1個)。
僕は2個しか発育しないと思っていました。。。
もっとたくさん受精卵をみて、目を鍛えよう。
たまにテレビで8つ子を産んだ人の話が出ますが、
牛では一度に何頭の牛を産めるのか
今年の1月に鹿児島の市場で4つ子の牛が競りに出されたそうです
http://373news.com/modules/pickup/index.php?storyid=37762
自然排卵で受胎したのかどうかは不明ですが、、
よく無事産まれましたよね
今日妊娠鑑定に行った農家さんでは出産ラッシュでした
猫の
4つ子です
猫が元気な季節になりました
私たちも元気に頑張ってまいりたいと思います