みにくいあひるのこ
アンデルセン童話「みにくいあひるのこ」をご存知でしょうか?
みんなと違うといじめられるみにくいアヒルの子。
しかし、本当はきれいな白鳥だったのです!
誰もが知っている感動のストーリーだと思います。
実験室では週に4回ほど体外受精卵を育てるのですが、みにくいあひるのこを彷彿とさせる卵と出会いました。
一番右が普通サイズの卵。
左と中央の卵・・・大きい!
成長した美しい姿を見るためにただいま培養中です。
アンデルセン童話「みにくいあひるのこ」をご存知でしょうか?
みんなと違うといじめられるみにくいアヒルの子。
しかし、本当はきれいな白鳥だったのです!
誰もが知っている感動のストーリーだと思います。
実験室では週に4回ほど体外受精卵を育てるのですが、みにくいあひるのこを彷彿とさせる卵と出会いました。
一番右が普通サイズの卵。
左と中央の卵・・・大きい!
成長した美しい姿を見るためにただいま培養中です。
今日は牛の鼻環のお話です~
牛に鼻環をつけることによって、引き運動、爪切り、病気の治療を行うときなどの保定や飼養管理面で牛を扱いやすくすることが出来ます
日本の農家では、約84%で鼻環の装着が行われているそうです(Wikipediaより)
その鼻環に生体情報を検知するシステムを組み込み、繁殖や健康管理に役立てようという研究開発が進められているそうですよ
牛の体温や血流を測定するセンサーと無線モジュール、GPS等を備えた鼻環を開発し、これを牛の鼻中隔に装着することで、リアルタイムに生体情報が得られるようにし、その情報を無線を通じて情報端末に送信出来るようにするそうです
開発されれば、発情の予測や病気の早期発見と感染症の拡大予防におおいに役立つと予想されます
ところで、鼻環について調べていたところ、岡山県に「鼻ぐり塚」と言う牛の鼻環が奉納される場所があることを知りましたが、みなさん知っておりますか??
家畜全般の供養をしている場所らしいのですが、食肉として処理された牛や病気で死んでしまった牛などの鼻環が全国から集められてうず高く積み上がり、現在では690万個以上の山となっているそうです
http://i.gzn.jp/img/2008/11/23/hanagurizuka/hanagurizuka.jpg
なんだか見ると複雑な心境になってしまいますが・・・
牛さん達に感謝ですね
ナイタイ高原牧場のふもとに位置するET研究所は周囲を広大な自然に囲まれており,
牛以外にも様々な動物が生息しています
今年の夏には研究所の駐車場が子ぎつね兄弟の餌場となっていたり,私は車を買って3日後にシカにぶつかりそうになったりしました
そして昨日ついに!!あいつが現れたのです…
仕事を終えて帰る職員二人が,車のすぐそばを走るヒグマを目撃!!
いるという噂は聞いていたものの,いざそういう話を聞くとやっぱり怖い…
クラクションを鳴らしたら逃げたそうなので害はなさそうです
ちなみに目撃した職員にサイズを聞いてみましたが,「クマを見るのは初めてだからよくわからない」とのことでした。
北海道民にとってクマに遭遇するなんて日常茶飯事だといわれることもありますが,実際クマは超レアキャラです
でも,研究所の立地を考えると,人の領域にクマが出たというより,私たちが野生動物のすみかにお邪魔しているという感じでしょうか
とりあえず,暗い時間に一人で外を歩くのはやめようと思います
↑牛の頭に巻いているこれは何でしょう?
答えは、全国の採卵ファンにはおなじみの、バルーンカテーテルです
当研究所では導入した黒毛和種やF1牛の除角を行っているのですが、その際の止血に廃棄するバルーンカテーテルを活用しています
↑糸鋸を使って角を切り落とします。腕の力に頼らず腰のを上手く使うことがポイントです
何でも腰が大事ですね
↑バーナーでこんがり焼いて止血します
肉の焦げる匂いにお腹が鳴りそうです
1日で黒毛とF1合わせて約40頭除角しましたさすがに疲れました
除角作業は一昨日実施したのですが、今朝方になって筋肉痛が来ました・・・。
悲しきかな、アラウンド・サーティー
先週は仙台に研修にいってきました。
仙台といえば牛タン。あまりのおいしさに感動して牛タンについて熱く語ってしまいました。
牛タンといえばあの歯ごたえ!みんな大好きだと思います。
牛タンは筋肉なのですが、他の筋肉と違う特徴があります。
①骨についてない
②いろんな方向に筋繊維が走行している
この特徴がおいしさの秘訣なのでしょう。
もちろん、しっかり研修をうけてきましたよ。
研修後はモチベーションUPしますね!
10月23日(金)~26日(月)まで、北海道安平町にて、第14回全日本ホルスタイングランプリ2015が行われました
北海道では10年ぶりの開催となり、日本全国から関係者や観客が押し寄せ、会場内は立ち見どころか、会場に入ることができないほど、大変賑わっていました
(25日の日曜は、今シーズン初雪となり、会場内は大変冷え込んでいましたが、人と牛の熱気で何とか耐え抜くことができました。九州の真冬並みの気温で、本州から来た人は驚いたことでしょう)
全国から予選を勝ち抜いてきた素晴らしい牛達が共進会場を闊歩する姿は、大変見ごたえのあるショーとなりました
全日本の頂点である最高位賞には、2014年北海道ブラック&ホワイトショウにてシニアチャンピオンに輝いた北海道更別町、天野洋一氏出品のレディスマナー MB セレブリテイが見事輝きました!!
おめでとうございます
大変コンデションの良い、セレブリテイを見させていただき、ありがとうございました。
そんな熱気のある会場の隣では、酪農資材器具展、技術交流会も開催しており、色々な新商品が展示してありました。
その中で、私が一番興味を持ったのは、削蹄講座で、削蹄師さんが実際の牛を使って、実演講義を行ってくださいました。
こんばんはー
とうとう帯広でも初雪が降ってしまいましたー
先週末は12月上旬並みの寒気が北海道に入ってきたので各地で雪が降ったみたいですね
ET研究所は山の中にあるので、ふもとの上士幌では雪が降っていなくてもガンガン降ったりすることもあります
今日もふもとでは雪が降っていなかったのに、ET研究所へ出勤してみると風に吹かれて吹雪のように雪が降ってきました・・・
冬は運転が本当に怖いです
しかも私はまだスタッドレスタイヤに取り替えておりませ~ん
皆さまも冬道の運転にはくれぐれもお気をつけ下さいね
先週の記事で、卵巣は我々の生活に欠かせない「大切なモノ」だと書きましたが、実はもう一つとっても大切なモノがあります
それは、胚操作用のピペットです
この胚操作用ピペットは卵子や受精卵を扱うときに使用するもので、水色のマウスピース部分を口に加え、息の出し吸いをしながら、
先の細くなったガラスの部分に受精卵を入れたり出したりしています。
我々が扱う卵子や受精卵のサイズは0.1~0.5mm位ですが、ガラスの先はそれよりも少しだけ太くなるように作られています。
一日のほとんどの時間これをくわえているんじゃないかというくらい、我々の仕事に欠かせない、大切な存在です。
先日研究所にお客様が見えたときに、「どうやって受精卵を移動させたりするんですか?」という質問を受けたので説明をしたところ、
大変驚いていらっしゃいました
「飲み込んだりしないんですか!?」という質問を受けることもありますが、大丈夫!
ちょっとコツを習得すれば、そのようなことは起こりません。
でも、学生時代に生殖工学の実習で初めて胚操作用ピペットを扱ったときは、吸いすぎてしまったり、ピペットを弾いてしまったりして、
たくさん失くしていましたね~
欧米では、口にくわえるのは衛生的ではないとして、マウスピースではなくシリンジにガラスピペットをつなげているところも
あるそうですが、やっぱり精度や速さといった点では、微妙な息の出し入れにはかなわないんじゃないかと思います。
生産者の皆様にお届けする受精卵は、今日もET研職員一同がマウスピースをくわえて大切に扱っていますよ~
このシリーズでは、我々全農ET研一同もお世話になっている、日本の畜産を支える「匠」とも呼びうる技術者の方々についてご紹介します(次回あるか未定)
本日は、「蹄」の手入れをしてくださる削蹄師さんです!!
↑素人では手に負えない種雄牛も息の合ったチームプレイであっという間に保定してしまいます。
↑ものの10分程度で1頭4足分の削蹄が終了いたしました
1日で何と55頭の削蹄をしていただきました
日頃蹄病治療で自分自身でやることも無いわけではないのですが、実力の違いをまざまざと見せ付けられました
牛群管理の「足元」をしっかり固めていただきましたまた宜しくお願いいたします
全農が生産現場に貢献している広告記事を、とある雑誌に掲載するということで、今日、記者の方々がET研究所に撮影に来られました
撮影のメインは
1.生産者:新ETシステムを利用している生産者のインタビュー、撮影
2.ET研究所:採卵、検卵の様子(凍結、チルド配送の様子)の撮影
です。
今日は、1の生産者のインタビューがメインで、鹿追のとある農家さん、Sさんを訪ねさせていただきました。
Sさんの畜産経営に対する熱い思いを、熱心に記者の方々はメモを取ってらっしゃいました
この取材が雑誌に掲載された日には、農業と関係の無い多くの読者にこの記事を読んでいただき、ET研究所、そして北海道の畜産経営についてもっと知って頂けたらなあと思います
北海道はすっかり寒くなりまして、もうそろそろ雪が降るかもしれないと感じております
しかしまだまだ季節は「秋」ですよね
北海道内でも秋の味覚を満喫できるような祭りやイベントが開催されていてまさに「食欲の秋」ですね~
最近は日が暮れるのは早くなり、日が昇るのはだいぶ遅くなってきましたね
「秋の夜長」と言うやつですかね
ながーい夜を楽しむために映画鑑賞などどうでしょう?
私事ですが、この映画が見てみたい・・・
「ステーキレボリューション」
YouTube: 10.17公開『ステーキ・レボリューション』予告編
世界一おいしいステーキを探すために、2年がかりで、20カ国、200を超えるステーキハウスをめぐる旅に出るというドキュメンタリー映画だそうです
2時間足らずの映画で、牛肉の生産から消費までの経路、畜産全体の抱える環境問題にも触れたりするらしいので、ただのグルメ映画ではなくお勉強にもなりそうですよね
ちなみに日本のお肉も登場するらしく、築地の高級店が出てくるらしいですよ
この映画を見て、牛肉のすばらしさに触れて日々のお仕事をがんばりたいと思います
めっきり寒い日が続いていますが,暦の上ではまだ秋です。
秋といえばもちろん食欲の秋!ということで,ET研でも秋の味覚を堪能する機会が続いています。
今週は,こんな素敵なグルメをいただきました
栗ごはんと豚汁でございます
ホクホクであまーい栗は,山菜やもちもちのご飯と相性抜群
あまりの美味しさに,夢中でかきこんでしましました
アツアツの豚汁も 大変おいしゅうございました。
実はこの栗,新ETで訪問した農家さんからいただいたものだそうです。
栗をくれた農家さんと,それを皆に分け与えてくれた方,そして美味しい栗ご飯を作ってくれた方,そんな多くの人の愛情の連鎖に
感謝しつつ,とっても素敵なランチタイムを過ごした私たちなのでした
今日
「繰り返し採卵すると採卵成積は低下するのか」
といったようなことを尋ねられました。
改めてデータをまとめてみると、牛群全体で見れば、採卵を繰り返すことで、採卵成積(回収胚数、移植可能胚数)は低下するようです。
一方、何度も採卵しても安定して高い採卵成積を維持している個体(20世紀産まれにも関わらず、まだ現役のドナーもいたり・・・)もいれば、最初からほとんど受精卵が回収できない個体もいます。
最終的にはほとんどの牛が採卵成積が低下し、淘汰されるという経過を辿るのですが、これほどまでに個体差が出るということは、同一個体の繰り返しの採卵成積の低下には、卵子のエイジングといった経時的な変化以外にも、何らかの要因が潜んでいることは間違いなさそうです
固有の卵子数はもちろん、免疫系との因果関係も気になるところです
昨夜ナイタイは初雪がふりました!
どんどん寒くなってきてます。
胚の性判別時にはバイオプシー(細胞片を回収)が必須なのですが、
大事な受精卵を切るなんて!
切った後も生きてるの・・・?
と思う方もいるのではないでしょうか。
バイオプシーした胚は移植されるまでインキュベーターにいれ、大事に保管しています。
写真はバイオプシー後4時間たったところ。
透明の細胞が栄養膜細胞で、切った直後は細胞が少なくなりさみしく感じます・・・
しかし、インキュベーター内で切った栄養膜細胞はどんどん育っていき、まるで切る前のように戻るのです。
これが移植しても大丈夫のサインでもあります。
毎回胚の生命力に感心し、受胎するんだぞ!と念をこめてストローにつめるのでした。
本日は人間のお話ですが、男女の性比についての研究を紹介いたします
米ハーバード大学と英オックスフォード大学の共同研究チームが男児と女児の割合は受胎時には同じなのですが、女児の方が妊娠期間中に死亡する数が多く、結果的に男児の出生数がわずかに多くなっているとの研究論文を発表しているそうです
米科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載されております
これまでの研究では、男児は女児より受胎数が多く、妊娠期間中の死亡数も多いことが報告されていましたが、今回の研究結果では男性胚の死亡率が女性胚に比べて高くなる特定の時期が妊娠期間中に存在することを発見したそうです
・男女の割合は受胎時には同じ
・受精後第1週は、女性胚より男性胚の方が多く異常胚になる傾向が認められた
・10~15週の間は、女児の方が胎内での死亡リスクが高い
・妊娠後期(28~35週)における流産の数は女児より男児の方が多い
膨大なデータの分析によりこれらのことが明らかとなりましたが、全体的に見ると男児より女児の方が多く子宮内で死亡していることが今回の調査結果は示していたのだそうです
これは人間のお話なので、ウシに当てはまるかどうかは全く分かりませんが、体外受精後に変性して死んでしまっている胚は雄胚が多いのかなとか、胚移植で雌胚を移植すると流産が多くなってしまうのかなとか考えてしまいますね
アメリカ農場視察第2弾です。
今回は搾乳農場です。牛の頭数は2200頭、ほぼホルスタインです
搾乳は1日3回で平均乳量は13927kgとのこと。
割と一般的な規模かもしれません(こちらでは数字の感覚がおかしくなります…。)
こちらの農場、何が特別かと言いますとCRI社のゲノミック牛生産プログラムに参加している農場とのことで、CRI社の精液を使用してその産子のデータを蓄積しているそうです。
ということもあり、CRI社としても是非見てもらいたいのか力の入った視察でした。
牛群の特徴として、長期連産性を求めた牛群らしく、足の強さや乳頭の形など非常に整っている印象を受けました
さて、今回で海外視察の報告は最後です。同時にアメリカ分場も閉鎖となりました。
ですが、このCRI社によるプロフィットツアーは来年も開催予定とのことです。実は紹介した農場以外にも色々と行っているのですがあまり紹介しすぎると来年の参加者から怒られそうなのでこれくらいにしておきます。
海外の情報を得る良い機会にもなりますので、ご興味のある方は是非来年のツアーにお申し込みください!きっと驚きの連続になることでしょう!
海外視察中のアメリカ分場です!
さて、視察先の農場をせっかくなのでご紹介したいと思います。
仕事をする上で一番大切なものとはなんでしょう?
情熱とかビジョンとか,もちろんとっても大切ですが,もっと具体的なもので考えてみてください
私にとってはこれ
卵巣でございます
この卵巣は,と場(ウシを肉に加工する工場)で採取したものです。
卵巣は食べることができないので,本来ならば廃棄されるのですが,この卵巣を使って研究を行っている機関は非常に多いです。
ET研でもほぼ毎日,この卵巣を使って実験しています
卵巣がなければ仕事にならないくらい,大切な存在です。
私たちはこの卵巣から卵子を採取しているのですが,今週はおよそ2000個の卵子を集めました
1個の卵子が1頭のウシになるとすると…なんとウシ2000頭分
世の中があっという間にウシだらけになりますね。
…実際には2000個の卵子のうち,受胎可能な高品質胚へと発生するものは1割にも満たないため,そんなことはないんですけどね
役目を終え,と場で解体されるウシたちは美味しいお肉となるだけでなく,研究材料としての卵巣を私たちに供給してくれるのです。
と場の卵巣がなければ,ウシの繁殖研究はもっとずっと遅れていたはずです。
この贈り物を無駄にすることなく,ウシの幸福に貢献するような研究に活用したいと思います。
ウシたちよ,いつも卵巣をありがとういつか必ず恩返しをしますので…
台風23号が北海道に近づいているようです
今日は朝方研究所の麓の方の木が二本ほど倒れ、停電してしまいました
実験の真っ只中で停電に見舞われた人もおり、手元を懐中電灯で明るくして、非常用電源に顕微鏡のコンセントを挿して継続するシーンもありました。
来客予定の方の中には飛行機の欠航に見舞われた方もいたようです
明日は採卵日なので受精卵のデリバリーに影響が無ければいいのですが・・・。
北海道の皆様はどうかお気をつけてお過ごし下さい。
昨日紹介されたイベルメクチンについて
寄生虫といえばイベルメクチン!というくらいいろいろな寄生虫症に効果があります。
牛用に販売されているイベルメクチン薬のすごいところは
皮膚への塗布で外部寄生虫、内部寄生虫に効果あることだと思います。
外部寄生虫とは皮膚の表面や毛に寄生するもので、内部寄生虫とは体内に寄生する寄生虫です。
体の中に潜む寄生虫を塗り薬でやっつけるなんて、なんて素晴らしい薬なの
学生のころすごく感動したのでした。
イベルメクチンは皮膚に投与すると速やかに皮下の毛細血管より吸収され全身の血液循環に入るため内部寄生虫にも効果を発揮するようです。
現場でも使いやすい素晴らしい薬なのでした。
ノーベル賞受賞おめでとうございます
今回は繁殖とは関係ない記事ですが、、、
昨日発表されたノーベル医学生理学賞に、日本から大村智・北里大特別栄誉教授が選ばれました
大村教授は、アフリカなどの感染症に大きな治療効果を上げている薬剤「イベルメクチン」を開発。
この薬は、年間3億人に使われ、アフリカや南アジア、中南米で寄生虫による失明や深刻な病気の危機におびえる人々を救ったそうです。
寄生虫の教科書を見ても、大体の寄生虫はイベルメクチンで一発で駆除できるように記載されてます。
人の領域でも、犬猫の領域でも、牛の領域でも、イベルメクチンは切っても切り離せない関係です。
ET研究所でも、放牧から帰ってきた牛には、必ずイベルメクチンを牛の背中にかけてます。
大村教授は1974年、この薬の元になっている化学物質を作り出す微生物をゴルフ場の土壌の中から見つけ、「この微生物は他と違う」と直感したそうです。
この菌から寄生虫を麻痺させる作用を発見しました。
ペニシリンしかり、イベルメクチンしかり、人類の大きな発見は、意外と普通の日常の中に隠れているみたいですね。
それをいかに発展させるかは、個人の力量にかかっているみたいです。
私は、人類で初めて牛のお尻に手を入れた人を心から尊敬します
精子特異的カルシニューリン(カルシウム-カルモジュリン依存的脱リン酸化酵素)が精子の成熟に必須で、その酵素が欠損すると精子の動きが悪くなり、受精が出来なくなることを大阪大などの研究グループがマウスを使った実験でつきとめました
米科学雑誌「サイエンス」の電子版に発表しております
一般的に免疫抑制剤として使われているサイクロスポリンやFK506という薬を服用した男性の受精能が低下することに着目し、これらの薬剤がカルシニューリン阻害剤であることから精子の成熟にカルシニューリンが関与していると考えたようです
カルシニューリンは精子にだけ存在するタイプがあることをつきとめ、精子カルシニューリンが作られないようにしたマウスでは精子の尾の付け根部分が硬くなり、動きが鈍くなることを明らかにしました
このため、卵子の透明帯を突き破ることができずに不妊となることが分かりました
最初に紹介しました免疫抑制剤であるサイクロスポリンやFK506で精子を処理しても受精能は落ちないのですが、マウスに薬剤を投与すると不妊になるそうで、このことから精子特異的カルシニューリンは精巣上体でのみ機能し、精子の成熟に必須な因子であることを突き止めました
さらに薬剤の効果は一過性で、薬剤投与を中止すると受精能は回復するのです(生まれたマウスも正常であることは確かめられております
)
さぁ、とうとう男性用の避妊薬の発売が現実味をおびてきましたね
男性側に原因のある不妊症の解明にもつながるでしょう
こんにちは。急ですが10月1日より全農ET研究所アメリカ分場が開設されましたこれからは海外のホットな情報を紹介していきます!
…すいません、そうなればいいなと思い夢を語ってしまいました
さて、実は只今アメリカの精液製造大手であるCRI社が主催するツアーに参加させていただいております。
米国における精液製造事情や農場視察を予定しています。
その最初ですがアメリカミシガン州マディソンにて開催されているworld dairly expo 2015に参加してきました
全米その他から集まった牛たちのコンテストです!
世界トップクラスの牛を見ようと世界各国から大勢の来場者が集まっております。
ちょっとだけ結果の発表ですが(写真が粗くてすいません…キレイな写真はexpoのHPを見てみてください)
「卵子の老化」という問題を耳にしたことがある人は多いと思います
数年前にNHKのクローズアップ現代で放送された「卵子老化の衝撃」という番組は,多くの女性たちに不安と焦りを与えました。
が,しかし!
老化するのは卵子だけではありません
精子だって老化するんです
近年の研究により,卵子だけでなく精子も加齢によって妊娠させる能力が低下することが明らかになりつつあります。
マウスの卵子に人の精子を入れ,卵子を活性化する能力について調べた研究では,
子供がいない人の場合,35歳を過ぎると卵子活性化の能力が低下することが明らかになりました。
また,精子の量は40歳を機に1年ごとに0.78%ずつ減っていくこと,さらに加齢によってY染色体をもつ精子が減るため,
高齢男性では女児が生まれる確率が高まることも報告されています。
男性のみなさーん,他人ごとではないですよー
今日から10月ですね
10月といえば年度の折り返し地点、場内は先日牛の棚卸でバタバタしておりました。
そして今日は日頃受精で用いる和牛の凍結精液の棚卸作業を実施しました
↑種雄牛ごとに1本1本数えていきます。中には1本ン万円のものも・・・。
↑外の気温は既に10℃以下ですが窒息したくないので窓は開けたままです。
合計約2500本に昇る凍結精液をただひたすら数え続ける、賽の河原の石積みを彷彿とさせます・・・。
約4時間後、全ての精液を数え終えました!!
こんな地味な作業に支えられ、日々全農の受精卵は生産されているのです
作業中にいつもは気にならないことがふと気になることってありませんか?
染色した胚を観察中に、
ふと
この赤い細胞って極体なのでは!?と思いました。
(そういえば、染色をすると死んでる細胞が2個ってことが多い気がする、などの理由からです。)
卵子は成熟する際に第一極体を放出、さらに精子の進入により第二極体を放出し染色体が2nからnになる減数分裂がおこる。と教科書的には習いますよね。
でもその後の極体っていったい、どうなってんだろう?と思いました。
人に聞いてもあいまいな答えや知らないという回答しか頂けず。
調べても答えは見つかりませんでした
もしかして極体のその後ってだれも気にしたことないのでしょうか!?
きっと
極体たちは壮大なミッション(減数分裂)を果たして、人知れず死んでいくのだと思われます。
そして赤く染まり、私に何か訴えていたのかなと思いました。
何か分かれば続報として紹介したいと思います!
今週の月曜から木曜まで、佐賀の畜産試験場から研修生が一名、ET研に来ております。
彼は佐賀県で、牛の受胎率向上のために、バリバリ現場で繁殖の仕事をしてます。
今回のET研への研修目的は、ET技術、採卵技術の向上のために、ET研がどういう取り組みをしているかの見学でした。
彼にとって、良い研修になれたのかな?
そう願います。
佐賀だけではなく、多くの都府県で、やる気のある若い技術者がどんどん育っていって欲しいです。
そうすれば、後継者不足、飼料高騰で悩まされる畜産業界も、明るい道が開けるんだろうなぁっと、思いました。
ちなみに、今日の佐賀県と上士幌町の気温差は、18度でした。
北海道は、着々と冬に向かってます。
搾乳の役目を終えた乳用種は廃用牛として、年間約27万頭が処分されています
肉用の子牛を産み終わった経産牛も約7万頭が処分されており、精肉売り場では、切り落としやひき肉となって並びます
そこで、最近廃用牛の価値が見直されているらしいのです。
ドライエイジングと言われる熟成肉の原料には経産牛や廃用牛が使われることが多いのだそうです
ブロックにした肉を1ヶ月ほど熟成庫で保存すると、肉の中にある酵素等の働きで肉の繊維(タンパク質)がゆっくりと壊れて、ペプチドやアミノ酸に変化し旨味が増すとともに肉が柔らかくなるそうなのです
長く育てた牛ほど赤身にうまみが凝縮されているので、廃用牛のうまみを引き出すのに適した技術と言えますね
ところが、肉の提供者によって熟成方法がまちまちであるため、国が日本農林規格(JAS)での基準作りに向けて動き始めたようですよ
機会があったらぜひ食べてみたいですね
生涯に10頭もの子牛を産んだ母牛がなお、人間の命の糧となる・・・
ありがたいことですね
ET研究所には数多くの職人がおり,圧倒的に完成度の高い仕事により業務に不可欠な存在となっております
本日は,胚操作用ピペットづくり職人の技を紹介したいと思います
胚操作用ピペットは,その名の通り受精卵を扱うためのピペットで,回収した受精卵を選別したり,
ストローにつめたり,さらには研究業務においても欠かせない,最も重要なツールです。
おそらく一日のうち3分の1くらい,このピペットを口に加えているんじゃないかという日さえあります
ET研究所ではこのピペットはとある職人の手により手作りされているわけですが,
これがかなり大変な作業なんです…
まず,ピペットの元となるガラス管を超音波洗浄して丁寧にすすぎ…
一晩かけて乾燥させます。
その後は職人が一本ずつ火であぶりながら適度な太さになるまで伸ばし,使いやすい長さにカットするとともに,
受精卵を傷つけないよう,先を丸めます。
滅菌して完成です!
学生時代は私もこの作業を行っておりましたが,作るたびに太さがバラバラだったり,
作業中にやけどをしたりと,大変苦労していました…
ですのでET研究所に来て,大量のガラス管をものすごいスピードで均一な太さに伸ばす職人の技を
見たときには心から感動したものです
私もいつか何かの職人になりたーい
佐藤信夫さん、道寛さんグランドチャンピオン獲得おめでとうございます。
今までの乳牛共進会の歴史の中で、このような高齢牛が成牛部門(第15部)に参加することはありませんでした。道北地区予選を乗り越えて参加しただけでも脅威なことですが、15部1位と、シニアチャンピオンかつグランドチャンピオンにも輝きました。奇跡とも言えるこの快挙に、決定の瞬間、会場内に拍手が沸き起こりました。審査したカナダのカラム マッキンベン氏も人間で言えば100歳に相当するこの牛がこのようなすばらしい姿でここにいることが信じられないと述べていました。
本牛、レスポアール レーガンスター ハーゲン号は若かりしころから7回全道共進会に参加し、平成18年と19年には連続してグランドチャンピオンに輝いており、今回3回目の受賞となることも驚きに価します。
本牛は11歳時の平成24年5月に当方の十勝にある全農ET研究所に預けられ、過剰排卵による採卵を実施し、1回の採卵で29個の正常卵を回収、6個の受精卵性判別をランプ法にて実施し、3個の雌胚をETし3頭の受胎牛を得ることができました。そのうちの1頭は今回8部のジュニア2歳クラスにも出品されていました。
その後、ドナー本牛を当方で受胎させ平成25年7月に豊富にお返ししましたが、残念なことに妊娠中期で流産してしまいました。
本牛もすでに高齢なため、普通であればここで話は終わるのですが、佐藤信夫さんたちの信念と諦めない気持ちにはただただ驚かされます。平成26年5月に信夫さん本人がトラックでレーガンスター本牛を積んで全農ET研究所までこられて「この牛に日本最高得点(その時点で本牛95点)である96点を取らしてあげたい、本牛を見る限り、その可能性はあり、決して諦めたくないので、何がなんでも本牛を受胎させてほしいと」と強く要望されました。
本牛はその時すでに13歳でしたので、当方の不妊対策用繁殖プランを実行し、子宮洗浄から始まって、発情誘起プログラム、チルド保存精液による人工授精かつ1週間後にチルド保存精液で作出したF1体内チルド卵の追い移植を実施し、すんなりと受胎しました。その後、数回の妊娠鑑定を行い、単一の胎仔が確認でき、流産もなく妊娠を継続し、その年の10月に豊富に帰り、平成27年4月20日に正常分娩し、今回のエントリーとなりました。
多くの酪農家の方々はもとより、我々みたいな繁殖技術の専門家にも佐藤さんご一家から「決して夢を諦めてはいけない」ということを目の前で教えていただいた気がしております。
本当にありがとうございました。
宮崎で行われた第108回日本繁殖生物学会大会に参加してきました!
9月末だというのに宮崎はまだまだ暑く、日中は30度近くになりました…
至る所で南国の植物が生い茂っておりましたよ~。
この学会は私が学生のころから毎年参加しているのですが、最先端の生殖工学から臨床現場での研究まで、動物の繁殖に関する非常に幅広い知見が集まります。
大変興味深い発表が数多くあり、私も頑張らねば!と気合を入れなおしたわけですが、特にヒートストレスのシンポジウムから多くのことを学ばせていただきました。
暑熱に強い受精卵の移植は、ヒートストレス対策の救世主として活躍しているわけですが、なんと凍結融解した胚では新鮮胚と比較して暑さへの耐性が大きく低下しているとのこと
流通している受精卵の大半は凍結胚ですので、これは大問題です。
ET研究所のチルド受精卵は夏場の受胎率が高い!と大好評をいただいているわけですが、こういう理由もあったのか…と納得です
また、もう一つ興味深かったのは、宮崎ではヒートストレスだけでなく、コールドストレスも問題になっているとのこと
暑さ対策を重視した牛舎では寒さ対策が不十分な上、慣れない寒さに牛たちはストレスを受けるそうです。
確かに、夏場でも涼しい北海道においても、暑い時期には繁殖障害を始め多くの問題が生じます。
絶対的な気温だけでなく、突然の暑さや寒さなどの環境の変化こそが、牛にストレスを与えるのかもしれませんね
今回の学会で学んだことを生かしつつ、生産者の皆様の助けになるような技術開発を目指したいと思います!!
定期的に採卵を実施している当研究所では、採卵のスケジュールに合わせてあらゆるルーチンワークが発生します。
担当者ごとに課される業務が決まっており、私の場合は日々ひたすら超音波診断器で和牛の生殖器を観察しつづけております
中々スキルアップが実感しにくい仕事ではあるのですが、単位時間内にどれだけ多く牛を見ることができるか、そこが技術・診断力の見せ所となります
今日改めて一頭あたりの移動・牛の探索を含めた所要時間を計算してみると、去年この仕事を始めた時よりも1分半ほどタイムが縮まっておりました。
「感謝の超音波診断一万頭、一時間を切る!」
そんな日は来ないと思いますが、自己の成長が受精卵の増産に繋がると信じて精進いたします。
みなさん胚の性判別をご存知でしょうか?
ブログの記事で過去にも紹介したことがあります。
だいたいの研究所ではLAMPやPCRを用いて胚の性判別をしていると思います。
簡単に内容を説明すると、
胚の一部を切り取ってきて(バイオプシー)、そこからDNAを抽出します。
Y染色体(雄が持っている染色体)の特異的領域を検出することで雄と判定します。
LAMPとPCRともにDNAの抽出は必要不可欠なのです
しかし~
今回はDNAを抽出しない方法で性判別をしてみました!
すでにキット化されて販売されているものを使用しております。
さてさて、どんな方法か簡単に説明します。
バイオプシーをするところまでは同じですが、DNAの抽出はおこなわず
バイオプシーした細胞片をスライドにのせ、それにY染色体に特異的に結合するもの(プローブ)をのせ、Y染色体をもつ細胞の一部を赤く光らせて蛍光顕微鏡で観察するというものです。
ようはオスだと赤い点が見えます
実際に画像をみてみましょう。
5検体ほど実施しましたがオスなのはこれだけでした。
性判別をやるときにはうまく判定がでるかはもちろん心配ですが、望んだ性別の胚が含まれているかが一番の心配ごとです。
なんと!なんとなんと!
現在、ミラノで開催されているミラノ万博に、上士幌のナイタイ和牛が出品されることが決定いたしました
以下、勝毎新聞より。↓
イタリア・ミラノで開催中の「2015年ミラノ国際博覧会」(ミラノ万博)の「北海道の日」(10月6~8日)に合わせ、ミラノ市内で開かれる関連イベントに、JA上士幌町のブランド牛「十勝ナイタイ和牛」がイタリアの政府関係者や現地の市民らに振る舞われる。
道内の牛肉で唯一、海外進出した実績から同和牛が選ばれた。
十勝が誇る高品質の牛肉を世界に売り込むチャンスとしても期待が高まる。
ナイタイ和牛はその前夜祭に当たる「北海道魅力発信セミナー&レセプション」(10月5日・在ミラノ日本国総領事公邸)で、現地の政府関係者や食産業関係者など出席者約50人にステーキとして提供される。
また、「北海道の日」と同期間中に他会場で開かれる「北海道フェア」にもPRブースが設けられ、現地の市民らに試食してもらう
私もよく実家にナイタイ和牛を送りますが、本当に美味しいと家族は喜んでくれます。
送った甲斐がありまさよね!
上士幌のふるさと納税の見返り品がナイタイ和牛になってます。
ぜひぜ、みなさん、上士幌にふるさと納税をよろしくお願いしますm(_ _)m
日本人には馴染み深いスポーツの1つだと思いますが、みなさん野球はお好きですか~
個人的にはプロ野球はそんなに見ないのですが、高校野球は意外と気になっちゃったりします
プロの選手ももちろん頑張っているのですが、高校生が必死に戦っている姿を見ていると応援したくなります
今、秋季高校野球大会が行われているらしいのですが、倶知安町の道立倶知安農業高校野球部の選手が自身で育てた牛の皮革から作った特製グラブで出場したとの記事が毎日新聞に載っておりました~
同校は黒毛和種13頭を飼育しており、世話はこの野球部の生徒を含む「畜産班」の生徒が行っているようです
野球部の監督が畜産の授業を担当しているので、「命の大切さと道具を大切にする気持ちを学んで欲しい」と考え、特製グラブの製作を始めたそうです
1頭からグラブ6個が出来るそうで、この3年間で計16個を外部に発注して作製したそうです
価格は1個約5万円だそう
この野球部の生徒は冬休みにアルバイトをして購入し、今夏から使用しているみたいです
な・・・なんだかとてもいいお話ですね
残念ながら試合には負けてしまったようですが、この生徒は「命の重みを感じながらプレーした。グラブの出来に負けないよう冬の間も練習したい。」と話してました
農業高校の取り組みはすごいですよね~
普通科高校では味わえないような貴重な体験をしてるなーと感じますし、レベルの高いことも行ってますよね
ここで将来の畜産の担い手が育成されるんだ
がんばれ農業高校
「牛の仕事」といえば何を思い浮かべますか?
一般的には,乳を出すこと,美味しいお肉になること,繁殖をすること…といったところでしょうか。
が,しかし!ドイツには牛という生き物の新たな可能性を開拓した強者がおりました
(AP通信より)
この牛はなんと!障害を飛んでしまうんです
牛に乗っているのはドイツに住む15歳の少女です。
馬を飼ってくれと両親に頼んだところ反対され,仕方なく自宅で飼育していた牛をトレーニングすることを決意
その結果,馬のように走るどころか,1メートルのハードルを飛び越えるまでになったとのこと
いやーすばらしいですね強い意志と地道なトレーニングを積めば,牛だって飛べる
私も試してみたいなぁと思いましたが,ロデオになるだけなのでやめておきます…
今年度ももうすぐ折り返し地点まで来ました。
今年入会した新人たちも成長目覚しく、最近では過剰排卵処置を行った牛の人工授精もバリバリこなしています
しかし、まだまだ成長できるポイントが多々あるのも事実です。
先日新人B君のETの練習を見ていたところ、フォームの乱れに気づきました。
↑肩と腕と授精器が、直線上にあることが分かります。
このフォームの場合、必要以上に力が入りすぎて、生殖器を傷つけてしまうリスクが高まってしまうと考えられます
そこで、下記のようにフォーム修正を行いました
↑上のように牛と平行に立つようにすれば、肩の力が入りにくく、必要以上に力むことも少なくなると考えられます。
B君も何となくコツが掴めたようです。
立ち位置一つでも変わってくるものだなぁと改めて感じました。
日本胚移植研究大会で学んだこと
「凍結ストロー(精液や受精卵)の扱いは風のないところで!」
現場の方は教わったことあるのでしょうか?
お恥ずかしながら、聞いたことありませんでした。
無風と軽風のところで同じ時間、外気露出した場合、軽風のほうが凍結ストローの温度上昇が大きいそうです。
たとえば、0.5mlの精液ストローを3秒間外気露出したとき、軽風のほうが約30度温度が上昇しているそうです。
さらに細い0.25mlストローの場合、この差は大きくなります
現場では風を避けるのが難しい状況もあると思いますが、知っていると少しは心構えが違いますよね。 タンクの移し変えなどは風のあまりあたらない場所で行ってください。
先日、臨床獣医師を対象としたエコー研修が音更の十勝牧場で開催されたので、参加して参りました。
講師にニューリプロ牛群管理サービスの畳先生を迎え、現場で使えるエコー技術の講義をを行って頂きました。
講義の中で、畳先生が紹介してくださった文献の中で、興味深い文献があったので、ここで紹介させてください。
一般的に、主席卵胞が大きいほど排卵後の形成される黄体サイズは大きくなり、その後の受胎率は上昇すると言われています。
我々ET研究所は、移植時の黄体サイズが13~15mm以上あれば機能性黄体とみなし、20mmであろうと30mmであろうと黄体サイズによって受胎率は変わらないという見解の下、移植を行っています。
今回の論文は、黄体機能を反映しているプロジェステロン値(以下P4値)は、黄体サイズよりも黄体血流量に依存している、という内容なのです。発情周期中のP4濃度はその後の受胎率にも大きく影響を与えます。
題「Luteal blood flow is a more appropriate indicator for luteal function during the bovine estrous cycle than luteal size」
Herzog K et al, Theriogenology. 2010 Mar 15; 73(5):691-7
目的:発情周期の牛の黄体血流量をカラ―ドップラーで測定し、その信憑性を評価した。
方法:発情周期中の血中P4値の測定、黄体サイズの測定、カラードップラーによる黄体血流量の測定を行った。
結果:黄体サイズよりも、黄体血流量の方が血中P4値と正の相関があり、カラ―ドップラーでの黄体血流量測定は有用である。
といった感じです。カラードップラー機能付きのエコーは普通のホ○ダのエコーよりも2倍以上の値段がしますが、卵巣内の機能性or退行性を見分けれるだけでも臨床現場の可能性はかなり広がると思いました。
小動物分野でのエコー診断は人間並みの技術の進歩が見られますが、大動物でのエコー診断技術の進歩はまだまだです。(事実、産業動物として牛を見た場合、そこまでする必要が無いというのが現実なのでしょう)。
ということで、大動物の分野にも、ララードップラ―をどんどん導入していきましょう。
もう、欲しいです。カラ―ドップラー
高いです。カラ―ドップラー。
ヒトの生殖医療分野の話になりますが・・・
IviGen社は、10年以上の研究の末、凍結卵子を用いた体外受精の成功の可能性を高める方法として「子宮内膜着床能(ERA)検査」を開発したそうです
ERA検査とは、遺伝子レベルにて子宮内膜が着床可能状態であるかを調べるものです
胚受容可能期間に基づき、受精卵移植のタイミングを決定することが可能となり、繰り返す流産や度重なる体外受精の失敗が改善されるそうなのです
流産は遺伝子異常により引き起こされますが、受精卵移植の失敗も流産の要因であると言われています
現在、凍結卵子を用いた受精卵移植は、40~50%を占め、増加傾向にあるといいます
一方、凍結卵子を用いた受精卵移植のうち、約25%が間違ったタイミングで移植されたために子宮への着床に至らないことが判明しました
一般的に、胚の受容可能期間は、月経周期の19~21日目、排卵の5~7日後と考えられており、体外受精の過程では、この周期に基づき、受精卵移植を実施しています
しかしながら、月経周期は個々によって異なる為、胚受容可能期間に誤差が生じます
受容可能期間外のタイミングに受精卵移植を実施すると、受精卵移植の失敗や流産を招きます
そこで、受精卵移植の失敗を繰り返す女性85人を対象に臨床試験を行ったところ、検査により33%が受精卵移植に成功したと報告されています
このように、ERA検査は、受精卵移植前に子宮内膜の着床可能状態を確認出来るため、体外受精による妊娠の可能性を高めることが出来ます
なお、すでに一部の不妊治療機関では、ERA検査を導入しているみたいです
ゆるキャラブームが定着して久しいですが、実は全農にも公式ゆるキャラ(!?)がいるのをご存知ですか?
その名も「おにくだいすき!ゼウシくん」です
(ゼウシ君公式サイトより http://zeushi-kun.jp/)
お肉が大好きなゼウシ君は雲の上の「にくにくランド」の王子様という設定で、国産畜産物を普及するために、日々国産のお肉の美味しさをPRしています
実はこのゼウシ君、かなり幅広い活動を行っており、全国ネットでアニメが放映されていただけでなく、TwitterやLINEスタンプなども存在します
ちなみにアニメでは、ゼウシ君の友達のみの太の声は大山のぶ代さんが担当してます!ドラえもんです!!
ゼウシ君の活動目的は国産畜産物のPRですが、私もやはり個人的に、お肉だけでなく野菜も含めて、なるべく国産のものを食べるように心がけています
学生時代はそんなことを全く意識せず、ひたすら最安値のものを買っていましたが、ひとたび習慣化してしまうと、なかなか国産品以外のものを買うことができなくなります。
私が国産にこだわる理由は安全・安心だとか、日本の生産者を守るためだとか、断然美味しいとか、様々ありますが、やはり「習慣」なんじゃないかなぁと思います。自然と手がのびる、という感じです。
多くの人が当たり前のように国産品を手にするようになれば、日本の農業の未来は変わるかもしれませんね
それまでがんばって!ゼウシ君!!
今日の日本農業新聞の一面に、和牛関係者にとっては聞き捨てならない見出しが載っておりました
「安福久」対象外に 新たな血統導入促す
安福久は肉質に優れる田尻系種雄牛で、雑誌などで枝肉共励会の上位入賞例や子牛市場の高額取引例など見ると、必ずといっていいほの勢いでどどこかに安福久が絡んでいます
私なんて「ひさ」と入力すると「安福久」と変換されるように単語登録している始末です
その安福久が1代祖もしくは2代祖に入っている牛は、10月の東京中央卸売市場食肉市場で開かれる共励会から出品できなくなることが、全国和牛事業共同組合(肉事協)により決められたそうです。
特定の血統に出品制限がかかるのは始めてだそうです。安福久の影響力の強さを改めて痛感します。
「折角手塩に掛けて育ててきたウチの安福久の子が・・・。」何て生産者の方もかなりいらっしゃるような気もします
共励会のラインナップが大きく変わりそうですね
余談ですが九州出身の筆者は国見高校サッカー部のスーパーシードを思い出しました。
先週は「第22回日本胚移植研究大会」に参加してきました。
開催地は高知県!待ってました!四国!
わたしが徳島県出身だからでしょうか、四国の県名が出てくるとテンション上がります
会場は高知大学でした。
同時に開催された、ET実務者ネットワークにも参加させていただきました。
ガラス化というワード聞いたことあるでしょうか!?
ガラス化は凍結方法のひとつで、受精卵を高濃度の凍結保護剤に入れた後、急速に凍結する方法です。水分が氷晶形成せず無結晶のガラス状の固体となるため、細胞を傷付けることなく凍結保存することができます。凍結融解後の胚の生存は良好といわれています。
しかし、融解方法が少々複雑なため、現場での普及は難しかったのです。
それをなんと、現場でできるようにと改良された方法をお勉強しました
今回の学会参加では実際に全農受精卵を移植してくださっている先生方にもお会いできました。
たくさん勉強になる話しをして頂き、北海道に戻ってきてからは静かに燃えています!
さいごに、カツオのたたきって塩で食べると美味しいって知ってましたか?
いまはこれがブームのようです。あと、にんにくはスライスをのせるらしいです。
最高においしかった!ごちそうさまでした。
スペインのGinemedヒト生殖補助クリニック生殖研究所の研究チームが、射精によって排出された精液の最初の部分は受胎につながる可能性が高いという研究論文を発表したそうです
「Systems Biology in Reproductive Medicine」という論文の4月号に掲載されているみたいです
この研究では男性40人分の精液を分析しております。
被験者に、排出した精液を2段階に分けて別々の容器に採取してもらったところ、排出された精液の最初の部分には、それ以降の部分よりも精子が多く、これらの精子はより活動的で、DNAが良質であることが判明しました
今回の研究結果から、最初の精液(15~45%)の目的が卵子に受精することであることが確認され、残りの精液は他の男性の精子が受精しないように防ぐためのものであると考えられています。
この研究結果は、ヒト体外受精において使用する精液の採取方法に応用できると考えられます
精液は常にひとつとされてきましたが、その組成と生理学的機能により、2つの異なるものに分けられ、生殖における目的もそれぞれで違うことが明らかとなりました。
体外受精で使用する場合、精液は通常、1つの容器に採取されますが、それにより2段階の精液が混合され、精子に有害な作用をもたらす可能性があるということが分かりました
さて,これはなんの写真でしょう?
答えは,牛の卵管です!
排卵された卵子は,写真右側の卵管采と呼ばれる漏斗状の膜にキャッチされて卵管に入ります。
右側の太い部分は卵管膨大部といい,ここで精子と出会うことで受精が起こります
左側の細い部分は卵管峡部といい,子宮へとつながります。
(ちなみにこの写真では子宮は切ってしまったのでちょっとしか写ってません…)
受精卵は卵割を繰り返しながら子宮を目指して卵管峡部を下降していきます。
ET研究所で行っている採卵は,卵管から子宮に降りてきたばかりの胚を回収しています。
つまり,受精から胚発生に至る,生命の始まりともいえる重要な現象の多くは卵管で起こるんです!
ただの細い管だと思ってあなどるなかれ,卵管!!
受精卵回収を効率よく行う上では、過剰排卵処理は欠かせないわけですが、その実態は、数日間にわたって朝夕注射を打ち続ける漸減投与と呼ばれる地道な作業です。
当研究所で昨年度行った受精卵回収は、3114頭であり、全ての牛に対して3日間×朝夕2回の投与を実施したとすると、年間投与するFSHの注射回数は実に18684本に上ります。
イチローのメジャー通産打席を一年で軽く越えてしまう勢いです
過去、当研究所でも
・ポリビニルピロリドン(粘稠性がある)に溶解する方法 (Takedomi et al. 1995 Theriogenology. 43: 1259-1268)
・尾椎硬膜外腔(ET時や胚回収時の麻酔薬の投与部位)への投与(小西ら、2009、東日本家畜受精卵移植技術研究会)
といった報告をしております。
他にも水酸化アルミニウムゲルに溶かした方法や、皮下注射などの報告がありますが、要は、
①ドロドロの液体に溶かし込む
②吸収速度が遅い部位に注射する
といった試みが成されて来た、ということです。
実際やってみると案外手間となる要素もあり、どの方法も中々漸減投与に取って変わっていないのが実情です。
ほっといてもブタ並みに排卵する牛がつくれないものだろうか?と妄想しつつ今日の筆を置かせていただきます
本州、九州では台風が来て大荒れの天気みたいすね。
本日、十勝はありえないほどの、雲ひとつない快晴に恵まれ、ほんとに気持ちの良い1日でした。
そんな中、本日、佐賀から1名のお客様がいらっしゃったので、ET研の一部の職員と、そのお客様とでBBQを行いました。
本当は、もっと佐賀からお客様がいらっしゃる予定だったのですが、あいにくの台風で飛行機が飛ばんかったみたいです。
そして、本日のBBQの最大のメインディッシュ、ちゃんちゃん焼きを作ってみました!
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ちゃんちゃん焼き、皆さんは知ってますか?鮭と野菜と味噌の調味料をアルミホイルで包んで蒸す、北海道の独特の料理です。
私も、大学生の時に実習先の農家でご馳走になって以来なので、果たしてこの味が正しいのか思い出せずにいましたが、佐賀のお客様からは大好評だったみたいです。
佐賀にもイカやら佐賀牛やら有田鶏やら松露饅頭やら、美味しいものはいっぱいありますが、北海道も美味しかもんはいっぱいあるとですよ!!
楽しい時間をありがとうございました!また北海道へいらっしゃってください。
素敵な佐賀弁を聞かせてくださいね。
実験をするためには色々準備が必要となります
体外受精をするにも受精卵を培養するにも培養液が必要となりますが、市販品を購入する・・・という手もあるのですが、結構自分達で手作りしています
調合済みの受精卵培養液で~す↓
何種類もの試薬を添加して作製しております
試薬の量り間違えには注意しましょう
たまにあるあるなのですが・・・試薬を量っている途中に誰かに話しかけられて、「・・・あれ、どこまで添加したんだっけ・・・」ってことも
そんな時はどうするのかって?
もちろん流しに「さよなら~」です
な~んとなく覚えていても曖昧で少しでも不安があるなら捨てます
実験器具なんかも市販されているものに調度良いのがなければ自分達で手作りします
本日も何か作ってました↓
さぁ、何を作っているのでしょうね?
職人化しておりました
受精現象は,1個の卵子に1個の精子が侵入することにより起こります。
卵子に侵入する際に精子はその尾部を切り離して頭部だけになり,さらに頭部は核へと変化していきます。
精子の核は卵子の核へと近づいていき,この二つの核が融合することで受精卵となります。
一方卵子は,精子が侵入すると,膜の構造を変化させて他の精子の侵入を防ぎます。これにより,何億個と射精された精子のうち,たった1個の精子のみが卵子に侵入することができます。
受精は生命誕生の第一歩となる神秘的な現象ですが,実はその様子を目で見ることができるのです
ピンク色の丸い円のようなものが卵子です。
そして,卵子の左上(時計でいうと11時くらい)の位置に移っている二つの赤い楕円形の物体が,つまり卵子と精子の核です。今まさに融合しようとしているところでしょうか。
先ほど,卵子の構造が変わることにより,2個目以降の精子の侵入を防ぐと書きましたが,卵子の状態が悪かったりするとこの変化が起こらず,たくさんの精子が侵入してしまします。これを「多精子受精」と言います。
この写真では核がなんと5つもできています
多精子受精が起こった場合,残念ながら胚の発生は途中で止まってしまいます。
一番最初にたどり着いた精子だけが受精できる早い者勝ちのルールは,正常な胚発生のために不可欠なんです
精子の皆さん,ルールはきちんと守りましょう!!
先日まで夏休みをいただき、今日は久々の現場作業でした
牛の繁殖を専門とする獣医の作業の基本は何と言っても「直腸検査」です
一頭一頭生殖器の状態を抜かりなく確認することこそ繁殖管理の要なのです
今でこそ大動物を扱う獣医にも女性が増えてきたものの、過去に産業動物獣医師の世界は完全な男社会だったのは、経産牛を扱う際に伸長や腕のリーチがあった方が有利であると考えられる直腸検査も一因であったと考えられます
しかし、私(約180 cm)が日頃扱っているのは黒毛和種、体高は120cm程度です。その伸長差を埋めるために、無意識のうちに背中を曲げて作業しています。
一日の作業を終えた後に普段背中に感じない違和感が・・・。しばらく現場から離れたことで直腸検査を継続して行うために必要な筋肉が衰えてしまったのか・・・。
姿勢、大事です。